Walkera 4#3B テールモーターのブラシレス化(3)
Walkera 4#3B メインモーターのブラシレス化(2)で改造した機体のテールモーターをブラシレス化しました。できるだけ特殊なパーツは使わずに市販されているパーツの組合せでの完成をめざしました。


1.ブラシレスモーターESC(TURBO ACE ESC-3A)PWMコンバータの入手

これらのパーツは米国の「WOW Hobbies」で購入しました。当方、首都圏在住ですが航空便で発注後6日目に届きました。

ブラシレスモーターESCは国内の「R/C Web Shop Kb」でも販売されているようです。


2.モーターの取付け

「7.0φX3.5φX4.5t」のブッシングを製作し純正のテールホルダに取付けておいてローター側からモーターを圧入しています。なお、ローター側からモーターを挿入するためにテールホルダの貫通穴を大きくしています。詳細はこちらをご参照下さい。


3.ESC(TURBO ACE ESC-3A)の軽量化

「4#3B」の改造で重要なポイントは軽量化です。0.1gでも軽くすると必ずメリットがあります。
ESC(TURBO ACE ESC-3A)のコネクタは取外しリード線は出来るだけ短くし、半田直付けとしました。

電子パーツの配置についてはこちらをご参照下さい。


4.テールのハンチング対策

メインモーターのブラシレス化は市販のパーツの取付けのみで簡単に完成しますがテールモーターのブラシレス化は微妙です。今回のケースでも当初、テールが大きなハンチングを起こしてしまい飛行どころではありませんでした。

「4#3B」の受信機にジャイロの感度調節機能があれば簡単に解決したかも分かりませんが思考錯誤の連続でした。

機械的にジャイロの感度を落とせないものかと機体の左右方向にジャイロ(受信機)を傾けてみました。ジャイロを45°程度傾けることでハンチングを抑えることができましたが操縦性能が微妙に変化したためこの方法は断念しました。

飛行リーマンさん」が公開されているプログラムを使わせていただきPICマイコンを使ったPWMコンバータを製作して感度調節機能を働かせてテストしましたがハンチングはおさまりませんでした。

又、メインに使用しているノーマルのPWMコンバータを2CHに改造して1CHをテール用PWMコンバータとして実験してみましたが残念ながら使えませんでした。恐らく二重反転ヘリ(5G6, 5#6など)では2CHコンバータとして使えるかと思いますが「4#3B」ではラダーバランスが取れませんでした。細かい解析はしていませんが【PWMコンバータ(ハイスピード)】はテール専用としてそれなりのプログラムが組み込まれているようです。


最終的には機体の整備やESCのパラメータの変更、テールローターの改造などで純正機並みの飛行が可能になりました。

(1)メインブレードの締付けの適正化

機体を垂直に傾けると水平になった両ブレードが自然落下する程度の締付けが最良でした。

(2)メイン、テールモーター用ESCのパラメータの変更

メインとテールモーター用ESCのパラメータを下記のように変更することでテールのハンチングを低減できました。

※メイン用ESC(XP-7A)
  「AdbanceT」を【Mid】→【Low】

※テール用ESC(TURBO ACE ESC-3A)
  「Revolution angle」を【Midle】→【Low】

その他のパラメータはデフォルトのままです。

(3)テールブームとテールローターの改造

テールブームは延長テールブームを短く切断して純正長(97.5o)にしました。又、テールローターは純正のローター(48o長)にウェイト(+0.2g)を取付けたものを使っています。

テールローターにウェイトを取付けたのはフライホイール効果(はずみ車効果)で回転を安定化してテールローター制御系のゲインを落とすのが目的です。ただ、あまり重いウェイトを取付けると機体の総重量が増加して操縦性能の低下や飛行時間の短縮などデメリットが大きくなるかと思います。

又、ハンチングの発生はテールブームの剛性にも左右されます。色々な種類のブームが市販されていますが剛性は

純正テールブーム延長テールブームメタルテールブーム

のようです。「メタルテールブーム」は剛性が最も優れておりハンチングの低減にも効果があるかと思います。ちなみに私の機体は「延長テールブーム」を使っています。

(4)その他

個々の機体の条件でハンチング(共振現象)の状況は異なるかと思いますがESCのパラメータの変更以外にも共振点を逃れるためのテールローターの加工なども有効です。

ローターを短く切ったタイプとローターにウェイトを取付けたタイプをテストしましたがいずれも効果が認められます。

テールローターのバランス調整には【簡易バランサー】を使用しました。「簡易バランサー」は簡単に入手できる「マグネット」と「針穴部分を切断した刺繍針(1.0φ)」を組合せたもので磁気浮上を利用したバランサーです。

その他、垂直尾翼を取付けてみましたがそれなりの効果がありました。

(5)結論

試行錯誤を繰返し最終的には「テールローターにウェイトの取付け」と「垂直尾翼の取付け」で落着きました。詳細はこちらをご参照下さい。


5.ESC(TURBO ACE ESC-3A)のリモート設定

メイン用ESC(XP-7A)はメイン用PWMコンバータ経由でリモート設定が可能ですがテール用のESC(TURBO ACE ESC-3A)はテール用PWMコンバータ経由で【テール用のPWM信号】を使っての設定ができません。このためメインのPWMコンバータを一時的に流用して「メイン用のPWM信号」を使って設定します。設定用回路についてはこちらこちらをご参照下さい。

もし、細かい半田付けが苦にならなければ「テール用PWMコンバータ」の入力先を一時的に【メイン用のPWM信号】の取出し点に変更するこの設定回路でもOKです。

パラメータ表はこちらをご覧下さい。

リモート設定の方法はESC(XP-7A)同様ですが終了のビープ音は「beep-----beep-----」の2回となります。


6.飛行状況

バッテリを除いた機体重量

メインモーターだけブラシレス化した機体:43.0g
テールモーターもブラシレス化した機体:43.7g

で0.7gのアップになりました。この位の重量アップですと飛行性能にはほとんど影響はないようです。

コアレステールモーター搭載時はラダートリムが-8%程度(トリムの調整範囲を-50〜0〜+50%とした場合)でしたが「純正長のテールブーム」と「ウェイトを取付けたテールローター」を組合せた機体では+12%程度になりました。


7.その他

(1)メインとテールモーターのブラシレス化の実体配線図を添付しておきます。

(2)メインとテールモーターをブラシレス化した「4#3B」の動画を撮影してみましたのでよろしければご覧下さい。

こちらは【Windows Media Player】で、こちらでは【YouTube】でご覧頂けます。

(3)ご参考までにメーカーの参考回路図を添付しておきます。

フルブラシレス化

パーツリスト

テール用モーター

モーターの取付け

ESC

PWMコンバータ

テールローター(試作品)

テールローター(試作品)

重量測定

参考回路図

パラメータ(ESC-3A)

電子パーツ配置図

実体配線図

リモート設定回路(1)

リモート設定回路(2)

PWMコンバータ回路

垂直尾翼の取付け

リモート設定回路(3)

簡易バランサー

完成状態